わたし:先生からご覧になって、私の仕事ぶりはいかがですか?
先生:飼い主を批判するのは気が引けるが、
お前はお客さんにあまり愛想が良くないな。
わたし:でもここには修理に来るのですから、
あまり愛想が良いのもどうかなと思いまして。
パンクした自転車を持って来られたお客さんに
満面の笑顔でお迎えすると、
パンクを喜んでいるようにも見えてしまうんじゃないかと。
先生:そうかなあ。笑顔の方が良いと思うが。
わたし:病院なんかでは、医者が愛想悪くても、看護婦さんがカバーして
くれていることが多いじゃないですか。あっ、看護婦じゃない、
今は看護師でした。
先生:まあ、そういうこともあるな。
わたし:この店では看護師に当たるのが、チョビン先生なのです。
だから、お客さんが来られた時には、私の不愛想をカバーして
いただけると助かるのですが。
先生:急に私に振るでない。私は単なるカゴの中の鳥にすぎぬ。
わたし:すぐ逃げるんだから。
ただ飯を召し上がっているのだから、その位ご協力くださっても。
先生:痛い所を突いてくるな。何をすれば良いのじゃ。
わたし:お客さんが来られたら「いらっしゃい」と言ってくださいますか。
先生:ワシはオウムじゃない。言葉はしゃべれん。
わたし:じゃ、せめて笑顔で迎えてください。
先生:笑顔は人間だけがするものじゃ。だいたいお前は鳥が笑っているのを
見たことがあるのか?
わたし:たしかに・・ありませんね。
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