わたし:先生はずっと独身ですが、寂しくないですか?
先生:好きで独身なんじゃない。お前がメスと一緒にしてくれないからじゃ。
わたし:先生はメスと一緒に暮らしたいですか?
先生:当り前じゃ。オスと生まれたからには、一度はメスと一緒になってみたい。
人間だって同じじゃろ。
こんな風にずっと一匹だけで飼うのは、虐待とも言える。
わたし:でも先生はもう相当なお年ですよね。
今からじゃお子さんも作れないんじゃないですか?
先生:作れるか作れないか、やってみなければ分からん。
わたし:先生は平均寿命を超えているんですよ。
先生:ワシは人間じゃない。
わたし:でも、メスと仲良く暮らすのは大変ですよ。お年を召してからじゃ、身体にこ
たえて、早死にしますよ。
先生:大変なのはお前の方だろう。知っているぞ。奥さんとうまくいっていないのを。
わたし:何でそんな話になるんですか。
先生、メスというのは先生の思っているような簡単なもんじゃないんですよ。
先生:私はメスに優しくするから大丈夫だ。
わたし:でも優しくすると、すぐにつけあがるんですよ。
先生:まあ、少しは厳しいところも見せるつもりじゃ。
わたし:そんなことしたら、すぐフグみたいにふくれて、口もきいてくれません。
先生:メスはみんなそんなもんなのか?
わたし:いや、違いますよ。でも、そんなメスに当たる確率は決して低くありません
よ。
そんなリスクを冒してまで、メスと一緒に暮らしたいですか?
先生:・・・・
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