わたし:先生、今日はどうしたんですか?
元気が有り余っているようですね。
(先生は夜、店の床に置いたフタの付いた砂浴び場に置いた巣で眠る。
夕方5時頃から翌朝9時頃まで店は真っ暗なので、毎日長〜い夜を過ごしている。
朝、フタを開けると自分で砂浴び場から跳び出るが、この頃では年のせいか、
一度で跳び出せないことが多い。
ところが、今日はフタを少し開けたとたん隙間から跳び出して来た。)
先生:馬鹿言え。こんな狭いところに長い時間閉じ込められて、あ〜イヤだ、イヤ
だ。今日はなんか1分でも早く羽根を伸ばしたくて、たまらなかった。
わたし:でも、元気一杯のようで、飼い主としては嬉しい限りです。
先生:元気なんじゃない。ヤケなんだ。カゴの鳥はもう終わりにしたい。
わたし:でも、三食昼寝付きのところはあまりないですよ。
先生:まあ、それはありがたいが、行きたいところに行けないのはつらい。
わたし:どこに行きたいんですか?
先生:外の自然の中を自由に走り回ってみたい。
わたし:でもこの辺は自然が少ないですよ。それに外には猫やカラスなんかの
外敵もいるし、車もバンバンと走ってますよ。
先生:ずいぶん脅かすね。でも自由に生きているお前がうらやましいんだ。
わたし:そう見えるかも知れませんが、
どうも最近わたしは「お釈迦様の上の孫悟空」
じゃないかと思い始めているんです。
先生:何だそりゃ。
わたし:詳しい話は省きますが、じたばたしても結局お釈迦様の手のひらから
出られないということなんです。
カゴは見えるから出れば分かるんですけど、これは目に見えないから
出たかどうかも分からないんです。
先生:それは困ったもんだな。
それでお釈迦様というのは天の上にいるのか?
わたし:それがどうももっと近くにいるような気がしてならないんです。
先生:近くにだと?
わたし:もしかしたらと思うんですが、とても口に出しては言えません。
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