わたし:相当落ち込んでいらっしゃるようですね。
先生:当り前じゃろ。
余命いくばくもないと宣告されたがん患者の気持ちが良く分かる。
わたし:でも、こう考えたらどうでしょう。
先生は毎日眠りますよね。
先生:当り前じゃ。
わたし:寿命が来るとは、そのときただ起きないだけじゃないですか。
先生:じゃ、毎日眠る時は死んでいくのと同じということか?
わたし:だって、眠っている時に自分は今眠っているとは分からないですよね。
先生:まあ、そうじゃが、でも何か違うような。
わたし:こういう考えてもしかたのないことは横に置いておいて、先生の紹介の
続きをやりましょう。次は、好きな食べ物は何ですか?
先生:人(鳥)のことだと思って、そう簡単に横に置くんじゃない。
好きな食べ物とは急に質問のグレードが下がったな。
それはお前が一番良く知っているじゃないか。
わたし:前にインコを飼っていたときは、買ってきたインコの餌と菜っ葉しか
食べなかったですが、先生は野菜以外は何でも食べますね。
先生:食い意地が張っているような言い方をするでない。
好き嫌いがあまりないだけじゃ。
わたし:だって好物が「ビスコ」だなんて、鳥らしくないような気がしますけど。
先生:鳥だって好きな物は好きなんじゃ。
わたし:それに好みもけっこう細かいですよね。
この前、ビスコのチョコレート味を差し上げたら、
ちょっと食の進みが遅いように見えましたが。
先生:ビスコはやっぱりプレーンが美味い。
食べ慣れないせいかも知れんので、また、試させてくれ。
わたし:この前は、驚きました。
まさかと思って差し上げた納豆を美味しそうに召し上がっていましたね。
先生:わしも初めて食べた。くちばしの所がちょっとネバついたが、
食べられなくはなかった。
わたし:食べられなくはなかったじゃないでしょう。
二口目はとっても美味しそうにパクついていましたけど。
先生:バレたか。うん、まあイケる味だったかな。
わたし:やっぱり先生は好き嫌いがあまりないじゃなくて、
ほとんどないんですね。
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